平安時代、唯一の遺
毛越寺にある、極楽浄土を表した庭園、浄土庭園は全国的にも有名です。
その中には遣水(やりみず)というものがあり、
遣水は、毛越寺の大泉が池に水を引き入れるためと造られたものです。
大泉が池に対して細い川が流れているように作られています。
池からみて東北側にあるこの遣水は、
もともとは池全体に水を引き入れるために造られました。
「作庭記」という文献にに記述されている、四神相応吉相の順流となっていて、たいへん風情のある流れとなっています。
ゆったりと曲がっていくこの水路は、
大変涼やかで、当時の情景が目に浮かぶようです。
この水路には、水切りや水越し、
水分けなどの石組がしっかりと置かれています。
この毛越寺にある遣水は、
実は平安時代、唯一の遺のため、大変貴重で珍しいものなのです。
全国的にみても、かなり特徴的といえます。
この美しい遣水のラインを舞台に、毎年新緑が芽吹く頃には恒例の
「曲水の宴」(ごくすいのえん) というものが催されます。
周囲には様々な木々があり、
平安時代を彷彿とさせる風景をそこに見ることができます。
十二単衣など、当時の衣に身を包み、
平安時代を再現するこのお祭りは、見ていて本当に素晴らしいものです。
赤い傘、野点傘があちこちに建てられ、
祭りはよりリアリティあるものになっていきます。
現代に生きていながら、こうして
平安時代に触れることができるというのは大変嬉しいことだと思います。
優雅、雅、豪華絢爛。
こうした平安時代は貴族は大変豊かな暮らしをしていました。
当時の情景を想像しながら、この浄土庭園や毛越寺を歩いてみると、
より理解が深まることでしょう。