金堂円隆寺跡を偲ぶ
金堂円隆寺跡という場所をあなたは知っていますか。
この場所は藤原基衡が大変力を注ぎ建立した勅願寺で、
ご本尊はあの雲慶が作った丈六の薬師如来でした。
毛越寺の中心伽藍であり、東西に翼廊が出ている様式で、東廊先端には鐘楼があり、西廊先端には経楼がセットのように建造されていました。
基壇は石造り壇上積で、たいへんしっかりとした造りだったと言われています。
しかし、この金堂円隆寺もまた、
火災によって焼失しその姿を見ることはできなくなってしまいました。
鐘楼、経楼、そしてこの金堂円隆寺が
火災にのまれたことは悔しいとしかいいようがありません。
現在、金堂円隆寺跡となった場所には
大きい礎石と木立ちが並び、存在をアピールしています。
何もなくなってしまったこの場所では、
あまり足を止める人も少ないという話も聞きます。
毛越寺ではこうして火災で焼失した部分についても、
跡地としてしっかりと展示を行なっています。
現存できていないことは悲しいことですが、
その場所にその建物があったことは確かなことです。
ですから、この金堂円隆寺跡にあったものを想像し、
考えることで建造物を頭の中に描くことができると思います。
観光地は華やかで賑わいのあるところばかりがピックアップされますが、
本当はこうした歴史建造物に触れることのできる場所の方が価値はあるものなです。
たまには都会の喧騒から離れ、こうした山間の寺に足を運び、
歴史に触れてみるのもいいかもしれませんね。